News Release

早産が脳の発達経過を変える

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

早産は生後の脳の発達を妨げるだけでなく、幼児期に向かう小脳の成熟経過を根本的に変えてしまう可能性があることが、新たな研究で示されている。この所見は、出生のタイミングが脳における細胞の発達および神経の結合をいかに決定するかを明らかにしており、早産の神経発達に対する持続的な影響について新たな知見を提供している。小脳の成長が最も速いのは在胎24週から40週の間であり、早産は脳の発達における決定的な時期に攪乱をもたらす可能性がある。早産は小脳の成長および神経発達に変化を与えることが知られているが、その基礎にある分子・細胞に関する機序はあまり分かっていない。このギャップを埋めるため、Georgios Sanidasらは生児および死後の乳児を調べた。対象となった乳児の中には、早産児もいれば正期産児もいた。剖検脳組織の解析と脳イメージングおよび発達評価が組み合わせて行われた。

 

空間的遺伝子発現プロファイリングとディープラーニング・ベースの組織解析を用いて、Sanidasらは様々な在胎週数の児における小脳発達のマッピングを行った。この解析から、早産により小脳の発達経過が変化し、出生のタイミングが、早産乳児の在胎週数+産後週数が正期産の乳児のそれと同じ週数に達した後でも、異なる脳細胞集団の成熟過程に影響を及ぼすことが分かった。著者らによれば、早産児の発達には、プルキンエ細胞と顆粒細胞の協調に障害がみられ、小脳が全体的な構造を維持していたとしても神経細胞の正常な結合を妨げる可能性があるという。これらの所見から、早産は単に正常な発達を妨げたり、脳に損傷をもたらしたりするだけでなく、成熟への過程の基礎にある生物学的条件を変えてしまうことが示唆される。こうした変化が長期にわたり持続するかどうかは分からないが、著者らの主張では、これらの所見から早産がその後の運動および認知の成熟にどのような影響を及ぼすかを理解するための枠組みが得られ、これによりその後における介入のタイミングの指針となる可能性があるという。「ヒトの早産児は、小脳の物理的な成長と、小脳における細胞および分子の成熟という、2つの成長のスケジュールに従うと考えられるが、Sanidasらの所見からそれらはいずれも、その時期における脳の健康の真の複雑さだけでなく、それが後年その児が小児期に達したときにどういう意味を持つかを捉えていないことが示されている」と、関連するPerspectiveでMolly Kelly-GossとElizabeth Crouchは記している。


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