News Release

古代ウイルスDNAからヴァイキング時代の北欧で天然痘が拡散していたことが示唆される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

古代人類から分離されたウイルスDNAにより、7世紀の北欧において天然痘が存在したことが明らかにされ続けており、人類における天然痘の存在が最終的に約1,000年遡ることになったと、新たな研究により報告されている。この結果からさらに、これまで知られていなかった、現在では明確な天然痘ウイルスのクレードが、ヴァイキング時代の欧州で拡散していた可能性も示されている。天然痘ウイルス(VARV)によって引き起こされる天然痘は、最も毒性が強く、壊滅的な影響を及ぼすヒト疾患で、20世紀だけでも5億人もの人の死亡原因となっている可能性があり、人類においてこの数世紀で計り知れない死亡をもたらした疾患の1つである。40年前に、天然痘は人類集団において初めて根絶された唯一のものとなった。天然痘の根絶は、公衆衛生上の最大の勝利の1つであるが、再興の可能性や、天然痘に類似するウイルスの意図的な放出をめぐる懸念が依然として存在する。残念ながら、人類における天然痘の起源および進化については、大部分が謎に包まれたままである。現在の考え方では、天然痘に類似したアフリカ由来のウイルスの祖先が数千年前にげっ歯類からヒトに伝播して、病原性の高い現代のVARVへと進化したことが示唆されている。しかし、天然痘ウイルスの最初期の存在の証拠は、せいぜい17世紀半ばに遡るのみである。可能性のある感染症を記述しているあいまいな文書記録や、古代エジプトの王ラムセス5世のミイラに認められる感染を示唆する皮膚病変を別にすれば、古代における天然痘の具体例は見つかっていない。Barbara Mühlemannらはハイスループットショットガン法を用いて、およそ3万1,000年前から150年前の間に生存していた1,867人の復元された考古学的遺骸の中に古代の天然痘の証拠を探索したところ、13人の遺骸からウイルス配列が再現され、そのうち11人は全てヴァイキング時代(紀元約600~1050年)の北欧由来であった。天然痘の最初期の証拠の存在を約1,000年早めたことに加えて、Mühlemannらは、新たに発見されたヴァイキング時代のVARV株は、現代の天然痘ウイルスに対して多様で新たな明確な姉妹クレードであることを見出し、この株は現代の病原性が高く致死的なウイルス株へと進化する前の数世紀にわたって北欧で拡散していた可能性がある。Antonio Alcamíは、関連するPerspectiveで今回の研究について論じている。

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