image: The normal female mouse embryo (top) contains only the female reproductive tract highlighted in pink. The female mutant mouse embryo without COUP-TFII (bottom) develops as intersex that has both male (blue) and female reproductive tracts. This material relates to a paper that appeared in the 18 August 2017, issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by F. Zhao at National Institute of Environmental Health Sciences in Durham, NC, and colleagues was titled, "Elimination of the male reproductive tract in the female embryo is promoted by COUP-TFII in mice." view more
Credit: Yao laboratory at NIEHS
一般的に得られているコンセンサスに反して、研究者らは胚発生時における重要な生殖器構造の性分化について予想しないメカニズムを明らかにした。全ての哺乳類の胚は、性別にかかわらず、ウォルフ管とミュラー管と呼ばれる原始的な生殖管を有している。胚期約16.5日で、これら2つの管の一方が保持され、もう一方は退化する。すなわち、雌ではミュラー管が残り、これが卵を産生する器官に分化する一方、雄ではウォルフ管が残り、これが最終的に精子を産生する器官になる。雄の場合、アンドロゲンと呼ばれるホルモンがウォルフ管を維持することから、雌の場合はこのアンドロゲンの欠如によりミュラー管の維持（およびウォルフ管の退化）が生じると考えられている。今回Fei Zhaoらはマウスモデルを用いて、ホルモンセンシング核内受容体であるCOUP-TFIIが、アンドロゲン活性とは別に、ウォルフ管の退化に関与することを明らかにした。Coup-tfII遺伝子がない場合、雌マウスと精巣（アンドロゲンの産生器官）のない雄マウスではウォルフ管が維持されることを著者らは発見した。同様に、ウォルフ管形成に必要な成長因子であるFGFに対する受容体と、FGFにより活性化される蛋白質の一つであるp-ERKは、Coup-tfIIノックアウト雌マウスで増加が認められ、ウォルフ管の維持の促進に関わっていた。これらを合わせると、Zhaoらの所見は、生殖管選択におけるアンドロゲンの役割について再評価することを迫るものである。関連するPerspectiveでAmanda Swainは、Zhaoらの研究の意義について、例えばヒトの生殖器疾患や欠損の研究における意義などを、さらに論じている。
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