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非標的質量分析によってニュージャージー州の土壌にPFASの代替品が含まれることが明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

非標的質量分析を行った結果、米国ニュージャージー州全域の土壌に、クロロペルフルオロポリエーテルカルボン酸化合物(ClPFPECA)が存在することが確認された。新しい研究によると、これまで確認されていなかったこの化学物質は、おそらく非常に有毒で環境残留性のあるポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の代替品として使用されたものだと考えられる。今回、使用されている特許工業化学物質の性質について手掛かりは得られたが、環境に及ぼす影響や毒性は不明のままだという。PFASは、焦げつき防止用や防水用のコーティング剤(テフロンなど)を作る際に広く使用されてきた。毒性や環境残留性をめぐる懸念から、多くの化学メーカーは、PFASに含まれる有害化合物の排除に取り組むことに同意し、「より安全な」代替品の開発を進めた。しかし、次世代のPFAS代替品に関しては、大半の化合物が企業機密として扱われているため、性質も危険性もほとんど知られていない。それでもなお、環境化学者は非標的の高分解能質量分析(HRMS)を用いて分子式を表し、周辺環境における化学的痕跡を確認しようとしてきた。この方法を用いて、John Washingtonらはニュージャージー州全域から集めた土壌サンプルを評価したところ、予期せぬ10種類のClPFPECAが検出された。そのうち少なくとも3種類は、すべてのサンプルで検出されただけでなく、400キロメートル以上離れた場所で集めたサンプルからも検出された。Washingtonらが見つけたClPFPECAの同族体と、イタリアで確認された同様の化合物を比較した結果、近くにある化学メーカー「ソルベイ社」がClPFPECAの発生源だったことが示唆された。ソルベイ社はClPFPECAをPFASの代替品として使用している。米国北東部全域に広く分布していたことから、大気中に放出され、輸送されたと考えられる。

関連するPolicy ForumではSteve GoldとWendy Wagnerが、Washingtonらの研究について詳しく説明し、米国と欧州におけるClPFPECAの化学物質規制を評価している。GoldとWagnerは現行の規制におけるおもな限界や欠陥を挙げ、こうした化合物の危険性や管理状況に関する公開情報が不足していると指摘している。「ClPFPECAをはじめとする潜在的に有毒な数千種類の化学物質については、規制方法が事実上謎に包まれている(規制されていないものもあるだろう)。効果的で責任ある化学物質規制が行われるのは、特に米国では、まだまだ先になると思われる」とGoldとWagnerは述べている。

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