News Release

窒素の利用可能性が地球規模で減少したことによって多くの自然生態系に影響が及んでいる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

多くの陸上生態系において窒素利用可能性が減少した結果、世界中の生物多様性および生態系機能に広範囲の影響が及んでいる。Rachel MasonらによるReviewでは、窒素減少の程度と影響、減少を引き起こしうる人的要因、その悪影響を緩和するために何ができるかについて論じている。「大気中(二酸化炭素)や地球気温の傾向と同じように、窒素利用可能性の大規模な減少は長期的な問題を示していると考えられるため、今後10年のうちに情報に基づく管理や政策的措置が必要である」とMasonらは述べている。窒素は地球上の生物にとって不可欠である。窒素は植物性タンパク質の重要な要素であり、植物やそれを食べる動物の成長を支えている。したがって、環境中の窒素利用可能性は、さまざまな生態系の構造や機能に大きな影響を及ぼす。人類は過去1世紀にわたり、工業・農業活動を通じて、反応性窒素の世界供給を2倍以上に増やしたが、その大部分が都市部と農業地域に投入されてきた。しかし、人為的な窒素富化が行われない地域においては、世界中の多くの陸上生態系で窒素利用可能性が減少していることを示唆する研究が相次いでいる。著者らによると、大気中二酸化炭素の増加や、地球気温の上昇、降水量や生態系擾乱状況の変化など、複数の環境変化がこの減少を引き起こしている可能性があるという。窒素利用可能性が減少すると、こうした生態系の一次生産力が変化して、昆虫のような草食動物の食べ物に影響が及び、さらにはより上位の栄養段階にまで影響が及ぶ可能性がある。Masonらは、窒素減少の監視方法をいくつか紹介しているが、管理活動に情報を与えるために継続的な研究が必要であると強調している。「窒素利用可能性の減少が食物網や炭素隔離といった生態系の機能やサービスに及ぼしうる影響を考えれば、窒素利用可能性の減少による影響が深刻になるまえに、研究や管理、政策的措置を行うことが重要である」とMasonらは述べている。


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.