News Release

マウスでは、社会的敗北ストレスにより、不安を軽減させる回復性の睡眠が誘発される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

他のマウスに敗北している状況にあるというストレスは、マウスの中脳細胞を活性化させ、睡眠を促して不安を軽減させることが、新しい研究で明らかになった。この結果は、「ストレス後の齧歯類および人間に対する、認知療法や薬物療法そして将来的には遺伝的干渉を介した今後の介入を進めるうえで役立つ」標的とすべき脳内の神経回路を強く示していると、関連するPerspectiveでMarian JoëlsとE. Ronald de Kloetが述べている。ストレスは不眠症を引き起こしうるが、その逆も真であり,慢性ストレスは急速眼球運動(レム)睡眠を増加させることが知られている。これらの観察結果から、睡眠はストレスの多い状況に対する重要な適応反応であり、負の生理学的および精神的影響の軽減に役立っているという仮説が提唱されている。マウスでは、社会的対立の喪失によって引き起こされるストレス反応である社会的敗北ストレス(SDS)が、心理社会的ストレスのモデルとしてしばしば用いられる。SDSによって一部の敗北動物がその後眠ってしまう可能性があることが示されているが、これらの事象が睡眠増強を引き起こす機序は依然として明らかにされていない。今回Xiao Yuらは、マウスのSDS誘発性睡眠に関与する脳回路を評価した。Yuらは、SDS後のストレスの検出と回復睡眠の誘導に特化した中脳の腹側被蓋野(VTA)の少数のニューロンを発見した。これらの知見によると、一部のγ-アミノ酪酸(GABA)-ソマトスタチンニューロンがストレス入力を受け取り、活性化されたときに、増強されたレム睡眠とノンレム睡眠を数時間促進するとともに、コルチコトロピン放出因子(CRF)の放出を阻害する。全体として、この過程を介して開始された睡眠は、マウスのストレスレベルを軽減し、ストレス誘導性不安を軽減し、精神と身体機能を回復させた。SDS誘発性睡眠を阻害したマウスでは、ストレス後も不安とコルチコトロピン濃度が上昇したままであった。関連するPerspectiveで、Joëlsとde Kloetは、「すべての個体が社会的敗北に対して睡眠によって反応するわけではないかもしれない」と指摘し、この個体差は「より大きなマウス群でさらに研究する必要があり、それは今回の探索的研究の頑健性を調べるうえでも有用であろう」と述べている。


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