News Release

GnRH療法はダウン症候群患者の認知機能を改善する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)療法がダウン症候群(DS)マウスモデルとDS男性患者の認知機能を改善することが、新しい研究で報告された。この知見は、嗅覚と認知におけるGnRH(一般的に生殖能と生殖に関連するホルモン)のこれまで過小評価されてきた役割を明らかにし、DSの認知障害を改善できる治療に向けた有望な道筋を示している。ダウン症候群は、21トリソミーとも呼ばれ、知的障害の最もよくみられる遺伝的原因である。45歳以上の女性の妊娠30件に1件の割合で発生し、21番染色体のコピーが通常の2個ではなく3個あることにより生じる。多くの成人DS患者が、この疾患に関連する様々な臨床症状のうち、早期発症型アルツハイマー病のような症状と嗅覚の緩徐な喪失を経験する。また、DS男性では性的成熟に障害がみられることもある。しかし現時点では、DSに伴う認知障害と嗅覚障害に対する実行可能な治療選択肢はない。最近の研究から、嗅覚喪失と男性不妊症はGnRH欠損症の特徴でもあり、GnRHが認知機能などの高次脳機能に関与している可能性が示唆されている。GnRHがDS病理に関与しているかどうかは完全には解明されていない。Maria Manfredi-Lozanoらは、DSのマウスモデルで、GnRHの産生を制御するマイクロRNA鎖(21番染色体上に認められる)に機能障害があり、それによりホルモンを分泌するニューロンに異常が生じていることを発見した。Manfredi-Lozanoらは、GnRH機能を回復させるエピジェネティック、細胞的、化学的、薬理学的介入によって、DSマウスならびにアルツハイマー病のマウスモデルにおいて嗅覚と認知障害が回復したことを明らかにした。これらの知見に基づき、Manfredi-Lozanoらは成人男性DS患者7例を対象に、認知能力に対するGnRH療法の効果を評価するためのパイロット臨床試験を実施した。この治療は嗅覚には影響を及ぼさなかったが、1例を除く全例で認知機能が改善した。関連するPerspectiveで、Hanne Hoffmannが本研究とその意義について詳細に論じる。


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