エネルギートランジションで先行する国や遅れる国がある理由

ロシアとウクライナの戦争は世界的なエネルギー価格ショックを引き起こし、それによって世界の国々は非常に様々な対応を強いられている。クリーンエネルギーへの転換を加速しようという国もあれば、化石燃料の国内生産を増やそうという国もある。Policy ForumではJonas Mecklingらが、クリーンエネルギーへの転換の加速に向けた様々な国の政策立案者にとっての政治的チャンスと制約について理解を深めようと、エネルギートランジション ―― 1970年代のオイルショックと気候変動対策 ―― における国々の違いを解説した2つの歴史的な事例研究を活用した。Mecklingらによると、その分析によって各国はエネルギートランジションに向けて3つの主要方針の中から1つを取れることが示されたという。3つとは、遮断してトランジションを進める（政策立案者は政治的敵対勢力から遮断される）、補償してトランジションを進める（政策立案者が企業と消費者にかかる調整のための負担を軽減する）、市場にトランジションを進めさせる（政策立案者は引いて、経済市場にトランジションを推進させる）である。「様々な政治方針は結果的に計算通りの速度でクリーンエネルギーへの転換につながる。これで、共通の問題 ―― 価格ショックと気候変動など ―― において、クリーンエネルギーの将来ために地球の国々を結集させるといった私たちの期待値は下がるはずである。同時に、これらの違いを理解することは国のチャンスや制約に対するより慎重な政策介入の目標設定に役立つ」とMecklingらは書いている。