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交差形質の同類交配は、遺伝的相関と多面的効果にバイアスをもたらす可能性がある

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たな研究によると、ヒトの形質間に見られる遺伝的相関の一部は、幅広い多面的効果ではなく、交差形質の同類交配 ―― 遺伝的関係のない特定の表現型特性を持つ配偶者を選ぶ個人の性向 ―― によって説明できるという。この研究結果は、これまでの研究では精神疾患を含む多くの表現型の間の実際の遺伝的類似性が過大評価されていた可能性があることを示唆している。ゲノムワイド関連解析(GWAS)によって、特定の形質と相関する遺伝的バリアントは同定されている。しかし、大半の形質が数千ものバリアントと相関している上に、多くのバリアントは多面的であることから、それらは多数の形質と関連していることになる。例えば、鬱や不安のような障害を含む精神医学的形質は、数千もの重複する遺伝的バリアントを、互いに共有していたり、さらには疾患カテゴリー全体にわたる他の症状と共有していたりする可能性がある。このように異なった形質間で遺伝的相関が見られることは、多くのヒト表現型にわたる幅広い多面発現性のエビデンスとして使用されてきた。Richard Borderらは今回、これらの研究結果では見落とされているバイアス発生源と考えられる要因 ―― 交差形質同類交配(xAM) ―― を評価した。彼らはこの仮説を検証するために、800,000人以上を含む集団ベースの大規模サンプルを2つ用いて様々な表現型にわたる交差交配相関の大型アトラスを作成し、それとコンピュータシミュレーションを組み合わせた。その結果Borderらは、ヒトの形質間の多数の遺伝的相関はxAMによって説明できること、また、多数の表現型ペアの間で交差交配表現型相関は強いため、1つもしくは数世代のxAMで遺伝的相関の推定値が著しく上がることを発見した。関係するPerspectiveではAndrew GrotzingerとMatthew Kellerが、「Borderらの発見により、多数の形質内および形質間で交配が相関する理由について、より現実的なモデルを開発し、検討する必要があることが明らかになった」と書いている。


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