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過去の肥満は自然免疫および神経炎症における持続的なエピジェネティック変化を引き起こし得る

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

高脂肪食を原因とする肥満の既往は、炎症性疾患を促進する可能性のある自然免疫の持続的な変化引き起こし、この変化は減量により肥満が解消して正常な代謝を取り戻した後にも持続する可能性があることが、マウスを用いた新たな研究で示されている。このような所見をヒトに当てはめられるならば、著者らは、こうしたエピジェネティックな変化が、肥満に関連する加齢関連の神経炎症性疾患の素因に寄与する可能性があると示唆している。加齢黄斑変性症は、高齢者にみられる神経炎症性疾患で、不可逆的な失明の主要な原因であるが、これまでに肥満と関連付けられている。しかし、肥満がこれらの病態の素因となるメカニズムは、十分明らかにされていない。関連するとは思われるが、肥満の既往がその後の生涯において免疫応答に及ぼす長期的影響についても、依然として不明である。Masayuki Hataらはマウスを用いた一連の実験において、高脂肪食で飼育されたマウスでは脂肪組織のマクロファージがエピジェネティック変化をきたしており、そのために炎症反応に関与する遺伝子の発現が上昇していることを示した。この発現は、マウスが正常体重に戻り、正常な代謝を取り戻しても持続した、と著者らは述べている。Hataらによれば、こうした持続的なエピジェネティック変化が生じたのは、肥満状態においてステアリン酸などの脂肪酸が脂肪組織内の常在マクロファージを炎症促進性の表現型に変化させた期間であり、こうしたマクロファージは加齢のプロセスを通じて保持される。これらの炎症促進性の常在細胞は、体内の他の部位に遊走し、例えば眼では加齢黄斑変性症を促進する炎症プロセスを開始する。「Hataらの研究は、マクロファージにおけるエピジェネティックなリプログラミングに関与する上流経路に関して、またこれらの経路を標的とすることでエピジェネティック変化を逆転できるのかに関して、重要な疑問を提起している」と、関連するPerspectiveでKevin MangumとKatherine Gallagherは記している。


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