News Release

家畜の飼料と人間の食用を目的とした昆虫養殖

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Arup Kumar HazarikaとUnmilan Kalita、Arnold van HuisとLaura GascoがそれぞれPerspectiveで、世界の食料安全保障の強化を目指した人間の食料源および家畜生産の飼料としての昆虫養殖の可能性について論じている。食料安全保障に対する懸念は高まっている。世界人口の急増によって、良心的な価格のより入手しやすい持続可能な栄養源が必要なると思われる。しかし、従来の農業と畜産の規模拡大は持続可能な解決策ではない。HazarikaとKalitaによると、食用昆虫の養殖は、食料安全保障を強化したり、農村地域や発展途上地域の経済を後押したりすることに有益だと言う。家畜肉生産とは対照的に、昆虫生産は資源消費型とはかけ離れていて、経済的である。その上、昆虫は、タンパク質・脂肪・ビタミン・ミネラルが豊富でカロリーも高く、人間の食事を補う貴重な食材になり得る。

 

人間は歴史上、何千年にもわたって多くの文化で昆虫を食事の一部として食べてきた。それにもかかわらず、大半の欧米諸国では、昆虫は「吐き気」を催す「奇抜な食べ物」だと思われており、それが昆虫食の支持の拡大を大きく妨げている。HazarikaとKalitaは、消費者が昆虫食を受け入れがたいと思っていることと、食品としての安全性に懸念があることが、克服すべき重大な課題だと述べている。van Huis とGasco はPerspectiveで、従来の家畜飼料に替わる昆虫の養殖の可能性について論じている。家畜生産が占める世界の農地利用の割合は80%にもなっているが、生産量は人間が消費する全カロリーの約18%、全タンパク質の25%に過ぎない。現在の家畜飼料源‐大半が魚粉と大豆粕‐を補うために昆虫を使うと、温室効果ガスの排出量と水と土地の必要量が減少し、それによって持続可能性の向上が望めるとvan Huis とGasco は述べている。その上、腐敗した果物や野菜、厩肥といった有機廃棄物を食べる昆虫もいて、そういった昆虫にとっては価値の低い農業廃棄物が質の高い餌になり、それによって全体的な持続可能性が向上する。van Huis とGascoは、昆虫ベースの家畜飼料はそれを食べる家畜にとっても独自の栄養になるとともに、健康上のメリットもあるだろうと述べている。しかし、養殖される昆虫の量は農業用飼料の需要を維持するには不十分な上に、現在のところ法的にも昆虫由来の家畜飼料の広範囲な採用は制限されている。


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