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農業拡大により南米平原地帯で洪水が増えている

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らの報告によると、南米の平原地帯では、農業の急拡大が原因で深く根を下ろした原生植物が失われるとともに蒸発散量も減少しており、それによって、地域全体で地下水面が上昇し、洪水も増えているという。この研究結果により、亜大陸規模及び10年規模での天水農業拡大に伴う水文的影響と洪水リスク上昇の可能性が明らかになり、加えて、同様の景観変化が起きている他の地域の水文的変化についての理解も深まった。世界の穀物需要の増加によって、広大な南米の野草地や森林が急速に農地へと転換されている。これらの平坦な堆積地形は地球上で最も肥沃な土壌の一部を有しているが、その水文は土地と水の利用の変化が引き起こす水収支の変化の影響を非常に受けやすい。しかし、これらの地域における天水農業急拡大の水文的影響は解明が進んでおらず、結果、持続可能性の問題と未知の潜在的リスクが生じている。Javier Houspanossianらによると、南米の平原地帯全域にわたる過去40年間の農業拡大の規模と速度は、天水農業の水文的影響を評価するための前例のない自然実験の機会だという。Houspanossianらはリモートセンシングデータと現場での地下水のモニタ観測を組み合わせ、特に2000年以降、原生の植物や牧草が農作物に置き換わるにつれて、その地域の洪水は次第に激しく、より広範囲に広がるようになり、また、降水イベントにも反応しやすくなったことを発見した。彼らの研究ではさらに、農地への転換が原因で地表から12~6メートル下の深さにあった地下水面が、4~0メートル下という浅いところに変わったことも判明した。現地調査とシミュレーションから得たデータを用いて、Houspanossianらは、原生植物から農作植物への転換に伴う植物の根の到達深度と蒸発散量の減少でこの水文変化を説明できるだろうと述べている。「ここで示された研究結果は、より賢明でより統合的な方法で農業、水管理、農村を支える今後の土地利用政策にとって重要だ」とHouspanossianらは書いている。


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