18-Dec-2025
核融合プラズマの遠隔リアルタイム予測制御を実証
National Institutes of Natural Sciences
世界で初めて、約1,000 km(往復約2,000 km)離れたスーパーコンピュータ上のデジタルツインを用い、核融合プラズマを遠隔リアルタイム制御することに成功しました。
磁場閉じ込め方式の核融合発電では、長い時間にわたって一億度を超える超高温プラズマを制御することが必要となります。しかしながら、核融合プラズマの複雑な挙動を予測して制御することは、物理モデルの予測精度及び計算速度の制約や未解明な事柄が多いことなどから挑戦的な課題となっています。研究グループはデータ同化と呼ばれる数理的技術を応用して、リアルタイムの計測情報に基づいて予測モデルを最適化することで予測精度を向上すると共に、その高速予測をもとに推定したプラズマの最適制御を行うシステムを開発してきました。
森下侑哉 京都大学大学院工学研究科助教、村上定義 同教授、釼持尚輝 自然科学研究機構核融合科学研究所准教授、舟場久芳 同助教、横山雅之 同教授、長壁正樹 同教授、石井康友 量子科学技術研究開発機構六ヶ所フュージョンエネルギー研究所部長、宮戸直亮 同グループリーダー、徳永晋介 同主幹技術員と上野玄太 情報・システム研究機構 統計数理研究所教授らの研究グループは、大型ヘリカル装置(LHD、岐阜県土岐市)※1と、核融合科学研究所と量子科学技術研究開発機構が共同調達した新スーパーコンピュータ “プラズマシミュレータ”(青森県六ヶ所村) ※2を、高品質・広帯域の学術情報ネットワークSINET6で接続。2万コアの占有計算と処理遅延の最小化により、LHDにおける遠隔地スパコンを介したプラズマのリアルタイム予測制御を実現しました。大規模実験施設と大規模計算機を往復2,000 kmのネットワークで結ぶこの方式は、核融合に限らず幅広い分野のリアルタイム制御の基盤となることが期待されます。
- Journal
- Scientific Reports