金属原子が二つの炭素環にサンドイッチ状に挟まれた構造を持つ化合物である「メタロセン」は、1950年代に発見されて以来、有機金属化学の中核的存在として、触媒、材料設計、エネルギー、センシング、ドラッグデリバリー(薬物送達)など幅広い分野で応用されてきました。しかし、不安定な中間体は一時的にか存在しない性質であるため、その形成の仕組みについての知見は限られていました。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは、この度、学術誌『米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society, JACS)』に掲載された論文において、メタロセン形成過程における「二重リングスリップ」反応中間体の完全な構造特性評価を世界で初めて報告しました。この特異な構造の解明により、メタロセンがどのように生成し、分解し、反応するのかについて新たな知見が得られました。さらに本成果は、幅広い応用が期待される刺激に応答するメタロセン系材料の設計に向けた新たな可能性を広げるものです。