24-Sep-2025 惑星を作る渦巻きのダイナミックな動きを初めて捉えた National Institutes of Natural Sciences Peer-Reviewed Publication 惑星が作られる現場である原始惑星系円盤の渦巻きについて、7年間にわたるアルマ望遠鏡の観測データを解析した結果、そのダイナミックな動きを初めて捉えることに成功しました。原始惑星系円盤の中で惑星がどのようなプロセスを経て作られるのか、その謎に迫る重要な知見です。 Journal Nature Astronomy Funder Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science
24-Sep-2025 「暗い」バレートロニクスに光を当てる Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University Peer-Reviewed Publication 沖縄科学技術大学院大学(OIST)のフェムト秒分光法ユニットの研究チームは、原子レベルに薄い材料において、これまで捉えることが難しかった「暗い励起子(れいきし)」の変化の過程を世界で初めて直接観測しました。科学誌『Nature Communications』に掲載されたこの成果は、古典情報技術と量子情報技術の両分野における新たなブレークスルーにつながる重要な一歩となりました。同ユニットを率いるケシャヴ・ダニ教授は、その重要性を次のように語っています。「暗い励起子は、光との相互作用が本質的に少ないため、量子特性の劣化が起こりにくく、情報伝達媒体として大きな可能性を秘めています。しかし、その『見えにくさ』ゆえに、研究や制御は非常に困難でした。こうした課題に挑む中で、2020年にOISTで達成した画期的な成果を契機に、暗い励起子の生成・観測・操作への道を切り拓いてきました。」 Journal Nature Communications Funder Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University, Japan Society for the Promotion of Science, Fusion Oriented REsearch for disruptive Science and Technology, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Science and Technology Agency
24-Sep-2025 6万個微小穴の並列デバイスで毎分300万個の細胞に分子送達、AI画像解析で単一細胞評価を同時実現 Toyohashi University of Technology (TUT) Peer-Reviewed Publication 豊橋技術科学大学とインド工科大学マドラス校の共同研究チームは、直径8–15 µm(8 µm時に最大約62,000孔)、深さ約20 µmの垂直スルーホールを持つマイクロ流体デバイスを開発しました。最大毎分300万個の細胞処理能力(細胞濃度2×10⁶ cells/mL、流量1.5 mL/min条件下)を実現し、深層学習(Mask R‑CNN)による自動画像解析と組み合わせることで、細胞内送達と評価を同時に高速化するプラットフォームを実現しています。多様な細胞に分子を素早く細胞内まで届け、その結果を数千単位の細胞で即座に数値化できます。 Journal Advanced Healthcare Materials
24-Sep-2025 粘土鉱物から生まれた!中低温領域で機能するプロトン伝導性ナノシート積層型固体電解質 Kumamoto University Peer-Reviewed Publication 熊本大学産業ナノマテリアル研究所の畠山一翔助教と伊田進太郎教授らの研究グループは、天然の粘土鉱物からナノシートを抽出し、精密に積層させることで燃料電池用の新規固体電解質の開発に成功しました。無機材料を固体電解質とした燃料電池は家庭用電源として実用化まで至っています。しかし、未だに作動温度は800 ℃以上と高く、市販されている車体などへの搭載は80~90 ℃で定常動作する高分子固体電解質を使用した燃料電池が主流となっています。次世代燃料電池搭載車両では100 ℃以上での作動も求められています。一方で高分子固体電解質は、中温動作時の水素クロスオーバー(水素が漏れ出て発電効率が低下する現象)が同程度の膜厚のセラミックス電解質と比べて大きいことやフッ素使用による環境負荷の指摘もあり、これらを一度に解決できる新規材料探索が次世代燃料電池の課題でもあります。今回、粘土鉱物から抽出した無機ナノシートを積層させた新たな無機固体電解質膜の開発に成功しました。開発した膜は、中低温領域(氷点下~150 ℃以下)でプロトン伝導性と水素バリア性、化学的安定性を高いレベルで両立していることがわかりました。この膜を固体電解質とした燃料電池は、-10~140 ℃の広い温度範囲で作動し、90 ℃(相対湿度100%)において最大264 mW/cm2の出力密度を達成しました。 Journal Journal of Materials Chemistry A
24-Sep-2025 世界初、カンキツ害虫の共生細菌から「謎の管状構造」を発見 Toyohashi University of Technology (TUT) Peer-Reviewed Publication <概要> 豊橋技術科学大学の中鉢淳 准教授、韓国・釜山大学の宋致宖 助教授、生理学研究所の村田和義 特任教授、神戸大学の洲﨑敏伸 学術研究員らによる国際研究チームは、世界的なカンキツ害虫であるミカンキジラミに共生する細菌「プロフテラ」から、生物界に前例のない新たな管状構造を発見しました。この成果は、チームが多様な顕微鏡技術を駆使して明らかにしたもので、害虫防除の新たな戦略に加え、生命進化の研究にも大きな展開をもたらす可能性があります。 Journal npj Imaging Funder Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, High Voltage Electron Microscopy Program, High Voltage Electron Microscopy Program, National Research Foundation of Korea (NRF)
23-Sep-2025 Observer AI Power Index:Insilico Medicine創設者Alex Zhavoronkov博士が未来を形作る100人のリーダーの中で認められる InSilico Medicine Grant and Award Announcement 世界の権力者を記録するデジタルメディア_Observer_によって発行されたObserver A.I Power Index 2025が正式にリリースされ、各業界で人工知能の未来を牽引する100人のグローバルリーダーを表彰しました。 Insilico Medicineの 創設者・CEO・CBO、Alex Zhavoronkov博士は、バイオテクノロジーとAIの交差点での独自の貢献により選出されました。
22-Sep-2025 Insilico Medicine、Mabwell Bioscience、ChemExpressが戦略的協力によりADCイノベーションを推進 InSilico Medicine Business Announcement 上海、2025年9月17日 — Insilico Medicine、Mabwell Bioscience(688062.SH)、ChemExpress(688131.SH)は、戦略的協力協定の調印を正式に発表しました。このパートナーシップは、相補的な強み、リソース共有、協力的イノベーション、相互信頼の原則に基づいています。三者は共同で数百のターゲットを網羅する新規ADC化合物ライブラリを開発し、次世代ADC候補分子のスクリーニングと進歩を行い、革新的ADCの産業化を加速します。
22-Sep-2025 温暖化進行時の洪水リスク変化予測をより精緻に――将来の社会経済シナリオに依存しない、より使いやすい情報を提供―― Institute of Industrial Science, The University of Tokyo Peer-Reviewed Publication 東京大学 生産技術研究所の山崎 大 准教授、MS&ADインターリスク総研の木村 雄貴 主任スペシャリスト(兼:東京大学 民間等共同研究員)、芝浦工業大学の平林 由希子 教授らの研究チームは、グローバル洪水モデルと気候予測データによる大規模シミュレーションで、これまでは将来の社会経済シナリオごとに異なると考えられていた洪水リスク変化の地理的分布が、実際には同じ気温上昇幅であればほぼ共通の傾向を示すことを明らかにしました。 この発見を活用し、複数の社会経済シナリオに基づく洪水シミュレーション結果を統合して統計的なサンプル数を増やすことで、将来の洪水リスク変化を世界の約70%の地域でこれまでより精度よく評価できるようになりました。 シナリオ選択に左右されず、「気温2℃上昇時」「気温3℃上昇時」といった温暖化レベルごとに、信頼性と実用性の高い洪水リスク情報を提供できるようになりました。 Journal Scientific Reports
18-Sep-2025 キンカチョウは意味によって鳴き声を分類する American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 新しい研究によると、キンカチョウは自種の鳴き声を全て区別できるだけでなく、意味による整理もできるという。この結果は、この鳥が驚くべきレベルの意味理解力を有することを示唆している。多くの社会性動物は、多彩な鳴き声のレパートリーを使って、自分たちの要求や感情、環境への認識を伝えている。研究者たちは長年、こうした音(つまり、その種の「言語」)を理解すべく、音の特徴、使用される状況、他の動物の反応に基づいて、鳴き声をタイプ別に分類してきた。しかし、こうした分類がその動物自身の認識や意味理解を反映しているかどうかは不明である。キンカチョウは社会性の高い鳴禽で、多様な社会行動ごとに11種類ほどの鳴き声を使い分けているため、前述の問題を評価するのに有用なモデルといえる。キンカチョウの成鳥が自種の鳴き声をどのように分類するかを調べるために、Julie Elieらは12羽を使って実験を行った。その実験で鳥たちは、1種類の報酬あり鳴き声を、その他10種類の報酬なし鳴き声(よく知らない他種の鳴き声を含む)から区別する必要があった。Elieらは、これらの鳥が、自らの鳴き声レパートリーに含まれるあらゆる種類の鳴き声を区別する驚くべき能力をもっていることを見出した。これは、自種の鳴き声信号を正確に認識し、分類できる証拠である。さらに重要なことに、著者らは鳴き声の「誤分類」が、類似した行動状況や社会状況で使用される鳴き声タイプ間で多く起こることを見出した。このことは、キンカチョウが鳴き声を意味によって整理し、その背後にある意味の心的表象を形成していることを示唆している。 Journal Science
18-Sep-2025 党による連邦科学資金支援に関する従来の見解に反する分析結果 American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication アメリカでは共和党が下院や大統領職を掌握すると科学に対する連邦歳出予算が増えることが多いと、Alexandar FurnasらがPolicy Forumで述べている。党の科学支援についての従来の通説に異議を唱えるこの調査結果は、数十年にわたるアメリカの科学及び研究関連の歳出予算データの分析に基づいている。「私たちの調査結果は、総じて、政治的支配と連邦科学資金の関係の複雑さを浮き彫りにしている」と、Furnasらは書いている。「この分析は、共通の社会目標を推進する超党派的な優先事項として科学資金を組み立てることの重要性を強調し、同時に、政治的干渉から科学を守る注意を怠らないようにも呼びかけている。」世界最大の研究資金提供者であるアメリカ政府は、世界の科学研究と技術革新の推進において極めて重要な役割を果たしている。それでも、党の政府支配と科学資金の関係は依然として明確にできておらず、この手抜かりが今日の社会分極化でさらに重大になっている。Furnasらはこれに対処すべく、1980年から2020年までの科学関連勘定への連邦歳出予算の詳細なデータセットを分析した。主に助成金付与に焦点を当てたこれまでの調査とは異なり、今回の分析では、科学や研究活動に関係する27連邦政府機関における171の歳出予算勘定の手作業で集めたデータベースを活用した。これは、毎年の予算編成手続きで認められた科学及び研究に関連する支出を全て網羅しており、これらの勘定には大学や外部研究者への助成金のみならず、民間企業との契約や連邦機関が実施した機関内研究も含まれている。 今回の結果として、連邦の科学資金が大方の推測よりはるかに複雑で、助成金は総歳出予算のごく一部に過ぎないことが示された。Furnasらによると、資金の大半は、助成金ではなく、契約を通じて民間企業に流れたり、政府機関内での研究に流れたりしており、連邦投資の全貌を把握するには、助成金付与以外も見る必要があることが浮き彫りになったという。また注目すべきこととして、Furnasらは、共和党は科学に非協力的であるという共通認識に反して、共和党が下院や大統領職を掌握すると、多くの場合、多数の政府機関で科学に対する歳出予算が増加することも発見した。民主党の掌握時と比べて、勘定科目当り平均数億ドルも多いことがしばしばあるという。重要なのは、資金の規模は党の権力とともに変動するものの、科学分野全体での助成金の配分はおおむね一定であることが示されたことである。しかし、Furnasらによると、分極化の拡大や一部の共和党政策立案者間の科学への信頼の低下を考えると、これまでの支援パターンはこの先のことを保証するものではないという。 Journal Science